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生態学におけるFOSS4G利用の最前線

日本生態学会第56回全国大会・自由集会

報告が遅くなりましたが,自由集会にご来場いただいた皆様,本当にありがとうございました。
本当に多くの方にご来場いただき,FOSS4GとGISへの関心の高さを実感しました。今後の活動の糧にさせて頂くとともに,多くの人にFOSS4Gを使ってもらえるように頑張っていきたいと思います。

今回が初めての試みで,これからどの様に進めていくのかまだまだ試行錯誤の部分もありますが,今後とも継続的に行いたいと考えております。
当日の資料についても公開を始めましたので,ご覧下さい。

改めて,ありがとうございました。

はじめに

2009年3月17日から21日に,岩手県立大学を主会場として開催される日本生態学会第56回全国大会において,自由集会「生態学におけるFOSS4G利用の最前線」が開催されます。生態学を中心とした分野でのFOSSおよびFOSS4Gの様々な活用事例についての報告がありますので,ご興味のある方は是非ご参加下さい。
また,会議終了後には懇親会を行いますので,よろしければそちらの方にもご参加下さい。参加希望の方は,niwasaki@affrc.go.jpまで御連絡下さい。もちろん,当日参加も歓迎です!
なお,生態学会大会の概要については,以下のサイトをご参考下さい。

日本生態学会第56回大会 (ESJ56) 公式ページ

開催日時

2009年3月17日,17:15~19:15,B会場(岩手県立大学 共通講義棟1階)

開催趣旨

生態学における地理情報システム(GIS)の利用は確実に広がっている.しかしそれが「誰でも使えるツール」であるかといえば,未だそうではないのも事実だろう.その原因として,GISソフトウェアが高価であることと,使用技術の習得が困難であることがあげられる.
そこで近年注目されているのが,オープンソースで開発が進められている各種のGISソフトウェアである.これらのソフトはFOSS4G(Free and Open Source Software for Geospatial)と総称され,無料で利用できること,ソフトの改良や再配布が可能なことが特徴である.また,「オープン」に開発されているためソフト自体のが検証可能なことも,科学研究として重要な点である.そしてその機能は一般に販売されているGISソフトに劣るものではない.
この様にGISを利用できる環境は整いつつあるが,日本国内におけるFOSS4Gの認知や利用は残念ながら十分とはいえず,生態学におけるGISの利用も限られているのが現状である.そこで本自由集会では,生態学分野においてFOSS4Gを利用している若手研究者を中心にその活用方法を紹介してもらい,生態学におけるFOSS4G活用の可能性について論議する.
これにより,FOSS4Gの利用が広がり,生態学におけるGISの活用が進むことを期待したい.

講演要旨

タダのソフトって「安かろう悪かろう」じゃないの? いいえ,違います! ~開催趣旨説明

農業環境技術研究所 岩崎亘典
発表資料

GISソフトウェアは「高価」なのが常識になっている。プロプライエタリ・ソフトウェアには体験版や無料版もあるが,使用期間が限られていたり,扱えるデータサイズが制限されていることがほとんどである。そのため,「無料」で入手できるGISソフトであるFOSS4Gも「安かろう,悪かろうではないか」との懸念もあるだろう。
そこで本自由集会では,生態学分野でのFOSS4Gの先進的な活用について報告をいただき,生態学研究における有効性を紹介したい。本自由集会が参加者にとって,FOSS4Gの利用,そしてGISの利用の契機になることを期待したい。

「自由」なGISソフトウェア・FOSS4Gの紹介

OSGeo財団 森 亮
発表資料

オープンソースソフトウェアを使うことってどんな意味があるのだろうか。無料、配布の制限がないなど、誰にもわかりやすいメリットはもちろんだが、目先の実利だけに留まらない様々なメリットを紹介する。

FOSSを使った衛星生態学

筑波大学大学院・JAXA 奈佐原(西田)顕郎
発表資料

衛星リモートセンシングのデータは、近年、爆発的に増加し、その多くが無料で使える。それらを効率よく処理・共有するには、スケーラビリティに富んだ処理系が必要であり、FOSSが最適である。FOSSのLinux, GRASS, 各種スクリプト言語を組み合わせて、実際に生態学研究に役立つ衛星データ処理系について紹介する。

GRASSとRを用いたリモートセンシング情報と家畜の空間行動情報の統合と解析

広島大学大学院 川村健介
発表資料

GRASSはフリーオープンソースなGIS環境であると同時に,拡張されたUNIXシェルとしての機能も提供する。通常のUNIXシェル同様にシェル変数,スクリプト,リダイレクトなどの便利な機能がそのまま使えるだけでなく,OctaveやRといったオープンソースソフトと連動させることで,全く無料でパワフルなGIS解析環境が得られる。今回,ニュージーランドの放牧草地を対象としてGRASSとRを用いた草と家畜の空間情報の統合と解析の事例について紹介する。

ArcGISと歴史的農業環境閲覧システムを利用した「牧」の歴史的変遷

東京大学 新領域創成科学研究科 宮本万理子
発表資料

迅速測図を利用し,過去の土地利用や植生の復元を試みた研究は,造園学分野において近年多く見られる.江戸時代の土地利用に関しては,絵図や史料等の断片的情報を組み合わせることで当時の土地利用をある程度把握することが可能である.一方で,迅速測図は明治の土地利用のみならず,江戸後期における土地利用を理解する上で有効な地図である.本研究では,絵図及び歴史的農業環境閲覧システムを利用し,江戸時代の幕府直轄牧の土地利用及び植生を把握した成果を発表する.

UMN MapServerを利用した農業生物情報登録システム(ABDIS)の開発

農村工学研究所 嶺田拓也
発表資料

近年,農村において農業者による生きもの調査活動が全国で展開されている。そこで,オープンソースのGISソフトウエアを利用して,生きもの調査で得られたデータを誰でも簡単にWeb上で登録できるシステムの開発を進めている。現在,プロトタイプとして,MapServerおよびPostGISを利用して,ポイント(点)・ライン(線)・ポリゴン(面)での登録・削除が簡単にできるようなシステムを設計し,試験運用に供しているところである。本報告では,システムの概要とともに,今後の課題に向けて,実際に運用している農業者の感想や意見も含めて紹介していきたい。

5分でできる(?)FOSS4G 2008 LiveDVD(ライトニングトーク)

農業環境技術研究所 岩崎亘典

FOSS4Gを利用する上で最初に障害となるのは,ソフトの入手やインストールである。また,大学等で共用のPCを使用している場合,ソフトのインストールが許可されない場合もあるだろう。そのような際に利用できるのがLiveDVDである。LiveDVD(含むCD)は,DVDから直接PCを起動することができ,その中に各種のソフトも含まれていため,HDDにソフトをインストールすることなく使用することができる。ここでは,本自由集会で扱った FOSS4Gが含まれているLiveDVDを使用して,簡単なデモを行う。ただしこの手のデモにはトラブルがつきものなので,うまくいかなかった場合は,ご容赦いただきたい。

当日デモで使用するLiveDVDのISOイメージはhttp://download.osgeo.org /livedvd/からダウンロード可能であるが,当日はDVDとして50枚配布する。