FOSS4G 2009 Niigata(終了)
FOSS4G最前線 フリーでオープンなGIS紹介
第18回 地理情報システム学会学術研究発表大会 特別セッション
ご来場ありがとうございました
第18回 地理情報システム学会学術研究発表大会 特別セッション「FOSS4G最前線 フリーでオープンなGIS紹介」には,多くの方々にご来場いただきました。講演者の方々には「FOSS4G最前線」というテーマに相応しい素晴らしい御講演を頂き,また,会場からは活発なご意見を頂きました。心から御礼申し上げます。ありがとうございました。今後とも,機会を見てこの様なセッションを持てればと思います。
当日の資料につきましては,随時アップロードさせていただきます。
セッション概要:
FOSS4G (Free and Open Source Software for Geospatial) とは地理空間情報に関するオープンソースソフトウェアのことです.2006年にOSGeo Foundationが設立されてからFOSS4Gに関する世界的交流が盛んになりました.世界中に分散したコミュニティによってFOSS4Gの開発が進められ,利用のノウハウが共有されています.
そこで今回,朱鷺メッセ:新潟コンベンションセンターで開催される第18回 地理情報システム学会学術研究発表大会において,FOSS4G最前線 フリーでオープンなGIS紹介セッションとして,FOSS4Gを利用したWEBでの空間情報発信・共有事例やデスクトップFOSS4Gツールを利用した空間情報変換・解析事例を紹介します.今回のセッションは莫大なFOSS4Gプログラム群のうちの極一部の紹介ですが皆様のお役にたてる情報があれば幸いです.
なお,本セッションは特別セッションとして行われ,無料で一般公開されます。皆様には奮ってご参加いただけますよう、お願い申し上げます。
日時:
2009年10月15日(木) 15:30-17:10
場所:
朱鷺メッセ:新潟コンベンションセンター 中会議室301
講演者および発表概要:
- 嘉山陽一(OSGeo.JP&朝日航洋株式会社):
FOSS4GとOSGeo foundation 発表資料
インターネットとIT技術の発達に連動してFOSS(Free and Open Source Software)の世界は急速に発展した。コンピュータを動かすための自由なツールとしてFOSSは必要とされ、それを支えるコミュニティが世界中に作られた。
近年地理空間情報の分野においても多くのFOSSが作成されている。様々なFOSS4Gがつくられ、それらを改良したり取りいれたりしてさらに多様なFOSS4Gが作成されている。これらの作業は世界中に分散したコミュニティによってになわれている。
そのためソフトウェアやドキュメントが各国語に翻訳され世界中でFOSS4G利用のためのノウハウが共有されている。今回はそれらFOSS4Gの紹介と、それをささえるコミュニティ(OSGeo foundation)の紹介を行う。 - 寺元郁博(近畿中国四国農業研究センター):
基盤地図情報WMS配信サービスの開発とFOSS4Gでの活用 発表資料
簡易的な背景画像を提供するために、基盤地図情報(精度レベル25000)をWMS(Web Map Service)で配信するサービスを開発した。本サービスは、再配布を自由に行えないものの、無償で使用できる。また、WWW地図アプリケーションで国土地理院長の承認を必要としない条件が広げられた。
これらより、地図アプリケーションを開発する際に、本サービスを使用することで地図データを購入するコストの大幅な削減が期待される。特にFOSS4Gソフトウェア群でカバーされていなかった地図データを補完することができる。
本発表では、開発した地図配信サービスの概要と、本サービスを使用したWWWアプリケーションの事例について報告する。 - 岩崎亘典(OSGeo.JP&(独)農業環境技術研究所):
HABSを活用した迅速測図・図郭外図の位置特定と公開 発表資料
関東地方を対象に作成された「第一軍管地方二万分一迅速測図」(以下,迅速測図)は,明治時代初期の土地利用や景観を復元するための貴重な資料である。発表者はこの全図幅を一括して幾何補正する手法を開発し,歴史的農業環境閲覧システム(HABS)として公開している.
本発表では,HABSを用いて迅速測図の図郭外に描画されている視図や断面図などの図郭外図の現在位置を特定するとともに,これらのOGCのオープンスタンダードであるKMLとOpenLayersを用いて公開したので,これについて紹介する。 - 中山 悠・中村和彦(特定非営利活動団体(申請中) オープンコンシェルジュ):
「ハザードマップ作成に向けたFOSS4Gの活用」 ―GDALを用いた画像変換と表示― 発表資料
GDALは、衛星画像や解析結果といったラスタデータを扱うためのFOSS4Gのライブラリである。GDALを用いることで、ラスタデータの形式・測地系変換等を行い、任意の形で表示することができる。また、GDALはコマンドラインから使用するライブラリであるために、大量のデータのバッチ処理等に適するという利点がある。さらに、GDAL2Tilesを使用することで、画像を自動的にタイリングしてGoogle Earth用のSuperOverlayを簡易に作成し、軽量に閲覧することが可能になる。
本発表では、GDALの適用方法に関して紹介を行う。 - 齋藤 仁(首都大・院、学振特別研究員):
「ハザードマップ作成に向けたFOSS4Gの活用」―Quantum GISを用いたラスターデータ解析― 発表資料
Quantum GIS (QGIS)は、フリーのGISであり、様々なプラットホームで動作することから、近年注目を集めている。またQGISは、ベクタ型データだけでなく、内部でGRASSを呼び出すことでラスタ型データの高度な解析も可能である。つまりQGISを用いることで、誰もが自由に地理空間情報を解析することが可能となる。
本発表では、QGISを用いて地理空間情報を解析する際の、基本的な機能の紹介を行う。特にここでは、DEM(数値標高モデル)などのラスタ型データを用いて、豪雨災害時の危険度評価に向けた解析を行う。 - 臼田裕一郎・長坂俊成・岡田真也・田口仁((独)防災科学技術研究所):
地域経営を支援する情報プラットフォームとそれを支える地理空間情報の分散相互運用環境 ~「eコミュニティ・プラットフォーム2.0」と「相互運用gサーバー」の開発と提供~ 発表資料
災害に強い社会の構築、特に地域の防災力向上のためには、防災活動を含む地域活動全般の活性化と協働が重要となる。そこで、当研究所では、地域社会の新たな公共と地域経営を支援する情報プラットフォーム「eコミュニティ・プラットフォーム2.0(略称:eコミ2.0)」を開発した。
特に、地理空間情報の取り扱いをについては、分散して存在する複数の情報を地域側で動的かつ統合的に利活用できるよう、利活用Webマッピングシステム「eコミマップ」を開発し、eコミ2.0に組み込むとともに、分散相互運用環境を実現する地理空間情報の配信サーバーシステム「相互運用gサーバー」を開発した。これらはすべて無償公開している。今回はこれらのシステムを紹介するとともに、これらにより目指すアウトカムについて述べる。
なお、本研究開発は、当研究所の研究プロジェクト「災害リスク情報プラットフォームの開発に関する研究」の一環で実施しているものである。